January 9, 2020

ブロックチェーン入門:CardanoのUTXOモデルを概説

Together Agency

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はじめに

従来の銀行システムでは、個人の銀行口座は中央の口座システムにより最新化されています。つまり、あなたが請求書の支払いをしたり、給料を受け取ったりするとき、銀行システムは、貸方と借方からなる中央の台帳を通じて、これらの取引を追跡しているのです。銀行では、ある口座から別の口座に移った金額と、残高を記録します。これは口座をベースとしたモデルです。科学哲学と査読(ピアレビュー)を通じて進化を続ける第三世代ブロックチェーンであるCardanoは、これとは異なるモデルを採用しています。人々の資産やトランザクションを追跡するこの方法は、Unspent Transaction Output (UTXO) モデルとして知られています。

このモデルは、第1世代ブロックチェーンであるビットコインの提供開始時に採用され、多くのブロックチェーンも当初からこれを活用してきました。Cardanoはこのアップグレード版を利用して、資産とその所有者、および分散型エコシステムにおけるピアツーピアのトランザクションの追跡を行っています。今回のブログでは、UTXOモデルについて、およびCardanoエコシステムにおけるその役割についてご紹介します。

CardanoのUTXOモデル:大きなリンゴの木

UTXOモデルを理解するため、たくさんの枝を持つ大きなリンゴの木を思い描いてみてください。たくさんの人がそれぞれの枝の上に座っていて、枝にはリンゴの実がなっています。ここに、10個のリンゴがなった枝があるとしましょう。そして、あなたはこの枝の上に座り、その10個の実を所有しています。さて、あなたは4つの実を友人にあげようと考えます。4つの実をあげるために、あなたが座っている枝が伸びて、二股に分かれます。1本の枝には6つの実、もう一本の枝には4つの実があります。あなたの友人は4つの実がなる枝に座り、あなたは6つの実がなる枝に移動します。新たに枝分かれしたこの2本の枝には、合計して10の実があります。これは、もともとあなたが座っていた枝になっていた実の数と同じです。今後のトランザクション(取引)でも、同じように新たに枝が分かれていきます。

このたとえでは、2本の枝はもともとあなたが座っていた枝のアウトプットと呼ばれます。この2つのアウトプットのうち、4つの実がなっている枝は現在では別のユーザーのものになっています。別のユーザーに送られたアウトプットであるため、このアウトプットは「使用済みアウトプット(spent output)」と呼ばれます。一方、あなたが座っている6つの実がなった枝は「未使用アウトプット(unspent output)」と呼ばれ、こちらも元はあなたが座っていた枝から派生したものです。6つのリンゴの実は未使用アウトプットなので、今後誰かにあげることができます。所有権には明確な関連性があり、それはちょうど、時間とともに木が枝分かれをしていく様に似ています。未使用のトランザクションは、今後トランザクション等に利用することができます。

Cardanoではこのようにして、二重支払い攻撃を防いでいます。取引の時点であなたが座っていない枝のリンゴをやりとりすることができないように、あなたが所有していないリンゴ、つまりADAを取引することはできません。それぞれの枝は固有のパブリックアドレスに紐づけられ、パブリックアドレスはEMURGOのセイザCardanoブロックチェーンエクスプローラーを使えば誰でも確認が可能です。このようなパブリックアドレスはそのユーザーの公開鍵に紐づけられています。公開鍵は、他のユーザーに資金を送る際に必要なものです。

日々のトランザクションにおけるUTXOの働き

まもなくShelleyの提供が開始されると、ステークプールを運用するCardano ADAの保有者は、ネットワーク上のブロックの検証に対する報酬を受け取ることになります。オープンで透明性の確保されたブロックチェーンにおいては、ステークプールの運用者がこのようにADAを受け取った瞬間から、Cardanoネットワークの全てのユーザーのために、UTXOモデルに基づき当該運用者の過去の全てのトランザクションが記録され、保存されます。つまり、UTXOベースのシステムでは、決済、および資産とその所有者を追跡していることになります。

最後に

UTXOモデルは、オープンな会計システムの中核的な柱としてCardanoを支えます。はじめは直感的に理解しづらいかも知れませんが、たとえ話にすることでUTXOの働きが分かりやすくなるのではないでしょうか。今回は、枝分かれを繰り返す木のたとえを用いました。UTXOモデルにより、資産の所有権を追跡することが容易になります。ブロックチェーン環境においてUTXOモデルの活用を開始したのはビットコインですが、CardanoはUTXOにスマートコントラクトを統合し、さらに他のレガシーシステムやブロックチェーンとの相互運用性、拡張性、持続可能性を実現することで、このモデルを進化させています。これにより強力かつ分散化された方法で財務契約を安全に行い、Cardanoのようなオープンで分散化されたブロックチェーン形式で資金を移動させることができるようになるのです。

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